集英社がマンガを活用した新事業、受け継がれるべきアートにして世界へ発信
集英社がマンガを活用した新事業「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」を始動。本日3月1日、Webで記者発表会見が行われた。
「マンガを、受け継がれていくべきアートに」というビジョンのもと行われる「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」では、集英社が2008年から実施しているマンガ原画のデジタルアーカイブを使用し、最良の印刷技術とマテリアルで制作したクオリティの高い「マンガアート」を世界に向け販売。作品の継承と同時に、世界のアートマーケットの一端を担うような、マンガアート市場の創造を目指していくという。
記者発表会見には集英社のデジタル事業部に所属し、同事業の責任者とディレクターを務める岡本正史氏が登壇。岡本は「油絵は劣化がゆっくり進んでいくのに対し、マンガの絵は急速に劣化する。このままいくとマンガはどんどん色が失われ、紙がボロボロになっていきます。そういった状況に対する1つの回答が、今回スタートする『SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE』でした」と述べる。
「マンガアート」は「REAL COLOR COLLECTION」「THE PRESS」「THE ORIGINAL」という3つのレーベルから登場。「REAL COLOR COLLECTION」は雑誌や単行本で用いられるオフセット印刷ではなく、エプソンのインクジェットプリンタで使用される顔料インクを使うことで色が鮮やかに表現される。また耐光性・耐久性も強化。さらに通常はパルプ紙が用いられるところ、美術館収蔵の作品に使用されるコットン100%の「ベルベット・ファイン・アート・ペーパー」に印刷される。
「THE PRESS」では日本だと長野県に1台のみ存在する、1960年代に製造されたドイツ製のハイデルベルグ印刷機を採用。作品自体はもちろん、希少になった印刷機と、その印刷技術を後世に伝えていくことも目的としている。コットン100%のアート用紙「グムンドコットン マックスホワイト」に強い印圧でプレスされるため、出来上がった作品に触れると印刷面が凹んでいる仕上がりに。なお「REAL COLOR COLLECTION」「THE PRESS」はどちらも、オリジナルボックスに入れて届けられる。
「THE ORIGINAL」は作家の描き下ろしを含む、1点のみのオリジナルアートワーク。「イノサンRougeルージュ」のヒロイン・マリーがインクジェットプリントされたところに、坂本眞一が血のりでペイントした作品などが展開される。「THE ORIGINAL」シリーズは、ギャラリーやミュージアムと連携して展覧会なども開催予定だ。
「マンガアート」は「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」の公式サイトで販売。現在、尾田栄一郎「ONE PIECE」、池田理代子「ベルサイユのばら」、 坂本眞一「イノサン」「イノサンRougeルージュ」の作品が取り揃えられている。また点数が5部から20部までと少量のため、抽選販売の形式を採用。申し込みは本日から3月31日まで受け付けている。価格は日本円で19万8000円から。
なおすべての作品は、ブロックチェーン証明書サービス「Startbahn Cert.」に登録。ICチップが内蔵されたICタグシール付きの証明書が同梱されており、スマートフォンをかざすことによって作品の情報を手軽に閲覧できる。